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糖質制限ダイエットは危険って嘘or本当?その理由は

確実に痩せることができるとして注目されている糖質制限。成功した人も多い一方で、途中で挫折したり、体調を崩したりした人も少なくないようです。 また、やり方次第ではとても危険であると警鐘をならす専門家がいるのも事実。果たして糖質制限ダイエットは本当に危険な食事方法なのでしょうか。 危険と言われる理由とは?正しい糖質制限のやり方とは? 糖質制限ダイエットを始めようとしている人は必見です!

【目次】 ・ 糖質制限って危険なの? ・ 糖質制限が危険と言われる理由とは ・ 「糖質制限が危険」は嘘?本当? ・ 健康的に痩せる糖質制限のポイント ・ まとめ

糖質制限って危険なの?

まずは、糖質制限をするとなぜ痩せるのか、おさらいしておきましょう。

糖質制限とは

糖質制限とは、その名の通り糖質の摂取を制限する食事法のこと。甘いお菓子やジュースだけが糖質ではありません。炭水化物は糖質と食物繊維から成るため、主食であるお米、パン、麺類はもちろん、ビールや日本酒などのアルコールも控えることになります。 実践すると、体重の変化がすぐに出やすいということで、チャレンジしている人が多いようです。では、なぜ痩せやすいのでしょうか。ポイントはふたつ。 ・ 糖の代わりに脂肪がエネルギー源として使われるようになる糖質を制限することにより、血糖値の上昇が抑えられ、インスリンの分泌も抑制される 三大栄養素には、糖質、脂質、たんぱく質があります。エネルギー源としてまず使われるのは、糖質。次に脂質、たんぱく質の順になります。 糖が不足すると、体内に蓄積されていた中性脂肪が分解され利用されることに。つまり脂肪の減少につながるのです。 また、食事をすると摂取された糖質は血液中に溶け込むため、血糖値が上がります。ここで活躍するのが、すい臓から分泌されるインスリンというホルモン。 インスリンには、血糖が全身の細胞に取り込まれてエネルギーとして使われるように促す働きがあります。食後に上昇した血糖値は、こうして一定に保たれるようにコントロールされているのです。 しかし糖が余った場合が厄介。インスリンは血糖値を下げるため、余分な糖を脂肪細胞に取り込むように命令をだしてしまうのです。 血糖値の上昇に比例してインスリンは分泌されます。そこで、糖質を制限すればインスリンの分泌も抑制されることに。糖が脂肪細胞にとりこまれにくくなり、太りづらくなるのです。

糖質制限に懸念の声

糖質制限をすると、すぐに数キロ痩せることができた人が多くいます。その一方で、集中力が低下したり頭痛がしたりして、日常生活に支障をきたしてしまったという人も少なくありません。 痩せたことによって健康になるどころか、逆に寿命を縮めているとする医師もいます。医療の現場においてもその減量効果が認められている糖質制限ですが、その危険性を示唆する声も多くあがっているのが現状です。

糖質制限が危険と言われる理由とは

なぜ、糖質制限をすると危険であるといわれるのでしょうか。その理由やウワサが広まったきっかけについてみていきましょう。

脳が働かなくなる!?

糖は人が活動するための重要な栄養素です。特に脳がエネルギー源としているのはブドウ糖のみ。 他の臓器などでは、脂質やたんぱく質などもエネルギーとして使われます。しかし、脳は血液脳関門(血液中の物質が脳内へ入るのを制限する検問所のようなところ)でチェックをし、糖以外のものをエネルギー源として受け入れません。 そのため、糖質を極端に減らすと、脳の働きが低下してしまうことに。糖質制限をするとボーっとしたり、集中力が落ちてしまうのは、脳のエネルギー不足が原因と考えられます。

糖質制限をしていた人が死亡した!?

2016年2月、糖質制限ダイエットの第一人者として知られる人物が急死しました。これは世間に衝撃を与え、糖質制限は健康になるどころか危険ではないのか、というウワサが広まったのです。 その人物とは、ホテルジャーナリストとして活躍していた桐山秀樹氏。飲食のルポを書くことも多く、高カロリーな食事を続けたうえに、睡眠不足、運動不足なども要因となって糖尿病を宣告されました。 その当時は身長167.5cm、体重87Kg、ウエストは100cmを超えていたとのこと。血圧は上が200以上もあったとか。医師からは、放っておけば生死にかかわるといわれ、糖質制限ダイエットを実践したのです。 桐山氏は、炭水化物を一切とらない方法を選択。結果は1週間で-5kg、3か月で15kgもの減量に成功しました。しかし、痩せて健康になったと誰もが思った矢先、突然この世を去ったのです。 ただし、糖質制限が直接の原因とは断定されていません。糖尿病と診断される前の数年間、高血糖の期間があったことが問題、とする意見もあります。 いくら血糖が正常になっても一度狭窄(狭く細くなる)した血管は簡単になくならないそうです。そのため、心筋梗塞などにつながる可能性が大いにあるとされています。 とはいえ、桐山氏は亡くなるまでずっと糖質制限を続けていました。そうなると、この食事療法は果たして安全なのか、と誰もが思ったのは当然ともいえるでしょう。

糖質制限で老化が加速する!?

マウスを使った動物実験によると、糖質制限をすると老化が加速するという結果も出ています。 糖質制限をしたマウスは確かに内臓脂肪も落ち、体重も減りました。しかし、毛のツヤがなくなって脱毛し、背骨が曲がるなど明らかに老化が進んだそうです。さらに、平均寿命よりも20%~25%も短命だったとか。 これを一蹴する意見もあります。動物と人は代謝経路が異なるので、実験結果がそのまま人間に当てはまらないとするもの。人を対象としたデータがまったくないので、糖質制限が老化を加速させるというのは問題があるとしています。 炭水化物の摂取量が多いほど死亡率も高くなるというデータもあります。一方で、糖質制限をしてたんぱく質や脂質が多くなると、老化を促進するという研究結果も。 いずれにしても、糖質制限には一定の効果があるのは事実。専門家もすべてを否定しているわけではなく、極端なやり方にはリスクを伴うとしていることが多いようです。

「糖質制限が危険」は嘘?本当?

専門家の意見もわかれる糖質制限。本当に危険な食事療法なのでしょうか。

現代人は糖を摂り過ぎている

お米を主食とする日本人は、カロリーの半分以上を糖質に頼っています。さらに、そば+かやくごはん、ラーメン+半チャーハンなどの糖質×糖質の食事や、丼やカレーなど糖質メインのメニューを好んでとる傾向に。 コンビニに行けば、サンドウィッチ、おにぎり、たこ焼き、冷凍チャーハン、冷凍パスタ、インスタント麺、ポテトチップスなど、糖質と油脂が一緒になったようなジャンクフードも24時間いつでも簡単に手に入ります。 このように現代人は知らず知らずのうちに糖質過多になりがち。糖質を多く摂って血糖値があがれば、それに比例してインスリンも多く分泌されます。それにより、余ったブドウ糖は、体脂肪として蓄えられてしまいます。 高血糖が続けば血管も傷つき、動脈硬化などの原因にも。糖質過多が招く様々な病気を防ぐためにも、適度な糖質コントロールは必要であるといえるでしょう。

糖化で老化が早まる!?

糖質を摂って血糖値が上がると、体脂肪として蓄積されるだけではありません。肌のシワ、しみ、くすみなどの原因にもなってしまいます。 食事などから摂った糖分が血液中に余分にあると、体内のたんぱく質や脂質と結びついて変性し、細胞を劣化させてしまいます。これを「糖化」といいます。 糖化によって劣化したたんぱく質が、AGEs(糖化最終生成物)。老化促進物質であり、これによってコラーゲンが破壊されれば肌の弾力がなくなります。糖化による老廃物が皮膚細胞に沈着すれば、しみやくすみの原因にも。 血管に影響を与えてもろく老化させれば、心筋梗塞や脳梗塞などにつながりかねません。骨粗しょう症、ドライアイ、白内障なども糖化が一因といわれています。 AGEsは体のあらゆる機能を老化させ、トラブルを引き起こします。だからといって糖質そのものが悪者なのではなく、エネルギー源としてとても重要。美容や老化予防のためにも、上手にコントロールして摂取しすぎないように心がけましょう。

健康を意識した糖質制限を

痩せたいから、糖化によるシミやシワを作りたくないからといって、炭水化物を一切摂らないような過度なやり方は避けましょう。 一時はすぐに体重が落ちるかもしれません。しかし、糖が不足した分、筋肉を分解してエネルギーとするために筋肉量が落ちてしまいます。結果として基礎代謝が下がり、かえって太りやすい体へと一直線! また、脳もエネルギー不足となるので、集中力が低下したり、ボーッとしたりして日常生活に支障をきたすことになりかねません。 どんなダイエット法でも無理をすれば、健康に悪影響がでます。たとえ痩せたとしても、ゲッソリしただけ。まわりから見れば、以前の方がイキイキと魅力的にうつるはずです。 健康的でキレイな理想の体を手に入れたいならば、あせらずじっくりが一番の近道。極端な糖質制限など無理なダイエットに走らないようにすることがとても大切です。

健康的に痩せる糖質制限のポイント

無理なく健康的に痩せるためには、どのように糖質を制限していけばよいのでしょうか。ポイントをみていきましょう。

自分にあった糖質制限をしよう

先ほども説明したように、一切糖質を摂取しない方法は避けましょう。健康を害する恐れがあるだけではありません。 糖質を厳しく制限すると、かわりのエネルギー源として脂肪酸などから作られるケトン体が増えます。血液中にケトン体が増えると血液が酸性になり、特に糖尿病の人はケトアシドーシスという合併症を引き起こすことがあります。 他にもケトン体が増えることの安全性がまだはっきりと分っていないようです。そのため、緩やかな糖質制限から始めることをおすすめします。 ケトン体は、糖質量が普段の1/3以下になると増え始めます。まずは、主食を普段の半分ほどに減らすことから始めましょう。 毎食茶碗一杯食べていたならば半分にする、もしくは3食のうち夜だけ主食をとらない、など自分に合ったやり方で構いません。 1食抜いて1日全体の糖質量を減らすようにしても効果はあります。ただし、3食バランスよく糖質を抑える方が、血糖値の上下動が大きくならないために安全とされています。

栄養バランスを意識しよう

糖質減らせばそれでOKと思っていませんか?糖質をカットした分、たんぱく質や脂質をしっかり摂らないと、エネルギー不足となってしまいます。 糖が不足すれば、筋肉量が減り、基礎代謝が落ちてかえって太りやすくなる恐れがあるというのは説明したとおり。さらに栄養不足にもなるので、フラフラしたり脱力感などを感じることもあります。 また、忘れがちなのが食物繊維。米などの炭水化物は糖質と食物繊維から成るため、糖質を制限すると食物繊維が不足してしまいます。食物繊維をしっかりとって、腸内環境を整えることもダイエットには大切です。 たんぱく質、ビタミン、ミネラルに加えて食物繊維などもバランスよく摂り、筋肉を消耗したり栄養不足になったりしないように心がけましょう。

食べ物を上手に選ぼう

ポテトチップスやインスタント麺などの糖質と脂質が多い加工食品、人工甘味料やブドウ糖果糖溶液などの甘い飲料を摂取することもやめましょう。 魚、肉、卵、大豆製品などからたんぱく質、野菜や海藻などから食物繊維を毎食摂るようにします。このときに、適度に油を取り入れると、空腹感を感じにくくなります。 油といっても、良質な脂質を補うのがおすすめ。例えば、アマニオイル、無漂白のココナッツオイル、オリーブオイルなどがよいでしょう。 特にMCT(中鎖脂肪酸)を上手に活用すると効果的です。これは、ココナッツやパームフルーツに含まれる天然の油脂成分。 一般的な長鎖脂肪酸の油は腸管から消化・吸収され、リンパ管、静脈を通って各組織に運ばれて分解されます。しかしMCTは小腸から直接肝臓に届けられて分解されます。長鎖脂肪酸よりも4~5倍も早く分解されるため、糖に代わるエネルギー源になりやすくなります。 MCTは熱に弱いため、そのまま使うのがよいでしょう。冷奴や納豆にかけたり、レモンや塩こしょうと混ぜてドレッシングにしたり、ヨーグルトに入れたりするなど普段の食事に気軽に取り入れることができます。 MCTオイルは、液体のものとパウダー状のもの、ゼリータイプなど様々あるので、自分にあったものを選んでみてはいかがですか。

まとめ

極端な糖質制限は絶対にやめましょう。脳のエネルギー不足となって日常生活に支障がでたり、栄養バランスが乱れてフラフラになったり…。なにより、見た目が以前とは別人のようになり、やつれてみにくくなるだけです。 これでは、ダイエットどころではありません。きれいに健康的に痩せてこそダイエットが成功したといえます。 糖質制限は正しく行えば、効果的な食事方法です。決して無理をせず、じっくり時間をかけて取り組むことが大切。そうすれば、リバウンドすることもなく、理想の体を維持することができるでしょう。

この記事の監修者のご紹介

栗山 明子(くりやま あきこ)
管理栄養士・フードコーディネーター
大学卒業後、食品メーカーに就職し、飲食店向けのメニュー提案や商品開発に携わる傍ら、フードコーディネーター の専門学校を卒業。
栄養講座の講師や食事指導、飲食店プロデュースや料理教室講師、大手メーカーの商品開発など幅広く手がけ、現在は、講座講師や食事指導および企業向けのレシピ開発の他、美味しくて見た目も魅力的、なおかつ健康にもプラスになるような料理を広めるために活動を行なっている。

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