身近な食品「糖質とGI値の一覧」と選び方のポイント

最近、健康系の番組などで「GI値」という言葉がよく登場するようになりました。なんとなく健康関連の単語であるというイメージはお持ちだと思いますが、実はGI値について深く理解すると、健康的な生活のために意識すべきことであるということがわかります。
まず、GIとは「グライセミック・インデックス(Glycemic Index)」の略で、意味としては食後の血糖値の上昇を示す単語です。単純な糖質の多さを示すものではなく、糖質の「吸収度合い」を示す数値として注目されています。
GI値が高ければ血糖値が急激に上昇し、低ければゆるやかに血糖値が上昇するのです。この記事では、GI値を意識することのメリットやダイエットとの関係性、GI値の低い食品をご紹介します。
【目次】
・ GI値とは何か?意識することのメリット
・ 簡単解説!GI値とダイエットの関係とは
・ GI値を意識したダイエットのやり方
・ GI値の低い食品例
・ まとめ
GI値とは何か?意識することのメリット
糖質制限ダイエットを考えるときにGI値について意識することのメリットについて解説します。
空腹を我慢しなくていい
血糖値が急激に上昇する「インスリン」というホルモンが多く分泌されます。インスリンは血糖値が上昇、つまり血液中の血糖が多い状態において、血糖を各細胞に送ることによって血糖値を下げます。
インスリンにはこの他にも「糖を脂肪として蓄える」という働きがあります。つまり血液中に急激に増加した血糖を、脂肪として細胞に蓄えてしまうのです。当然ながら蓄積された脂肪の分だけ体重が増加し、痩せにくい体質になってしまいます。
そこで役立つのがGI値の理解です。GI値を理解することの一環として「どういった食品がGI値が高く、低いかを把握する」というものが挙げられます。GI値が高い食品は急激な血糖値上昇によってインスリンを過剰分泌させ、GI値が低い食品であれば血糖値上昇がゆるやかなのでインスリンもそこまで分泌されません。
食品には「カロリー」などの要素がありますので一概にはいえませんが、「血糖値を上げたくないから食べない」という事態を回避できます。血糖値を気にしている人は低GI値の食品を選べば、空腹を我慢しなくても済むのです。もちろん、食べ過ぎはいけませんよ?
痩せ習慣が身に付く
前述の通り、血糖値の急上昇によってインスリンが過剰分泌されると、糖が脂肪として蓄積されて太りやすくなります。GI値の高い食品をできるだけ避けて低GI値の食品を中心とした食生活スタイルに変えることで、インスリンによる脂肪の蓄積を避けて痩せ習慣が身につきます。
糖尿病の予防にも繋がる?
そして、血糖値と深く関係している病気である「糖尿病」の予防にも繋がるという大きなメリットがあります。
そもそも糖尿病とはなにかといえば、簡単にいえば「インスリンの効きが悪くなる病気」です。高血糖な生活スタイルを続けると、次第にインスリンの分泌量が低下したり、インスリンの効き目が弱くなってしまいます。これにより血糖値が上昇してもインスリンによってこれを抑えられなくなり、血糖値が高くなって血管障害を引き起こしてしまうのです。これを「2型糖尿病」といいます(糖尿病の大半は2型糖尿病)。
2型糖尿病の基本的な発症原因は、血糖値が急激に上昇することによるインスリンの過剰分泌が続くことです。GI値が低い食品を中心とした食生活であれば血糖とが急激に上昇するのを予防し、インスリンの過剰分泌を抑えることができます。
簡単解説!GI値とダイエットの関係とは
GI値は血糖値と深く関わる指標です。 では、なぜGI値がダイエットに関係しているのかについて解説します。
GI値は血糖値の指標
先ほども説明しましたが、GI値は「血糖値の指標」として役立ちます。 GI値が高い食品は血糖値を急激に上昇させて、インスリンを多く分泌させてしまいます。 一方で、GI値の低い食品は血糖値の上昇が緩やかで、インスリンが過剰に分泌されるリスクを下げます。
GI値と太りやすさの関係
GI値は「太りやすさ」にも関係しています。インスリンには血糖値を下げるだけではなく「糖を脂肪として蓄える」という働きがあります。 血糖値が急上昇してインスリンが過剰分泌されれば、その働きも強まります。
つまり、GI値が高い食品を中心とした食生活ではインスリンが過剰分泌され、脂肪が蓄積しやすくなります。 逆に言えばGI値が低い食品を中心とした食生活であればインスリンが過剰分泌されるリスクは低くなり、脂肪の蓄積を抑えることができるのです。
GI値とダイエットの関係
GI値とカロリーを同じ意味合いで使う人が時々いますが、似て非なるものです。 また、「GI値が低ければカロリーも少ない=いくら食べても太らない!」という考え方ですが、これは大きな間違いです。
GI値がダイエットに関係しているのはカロリーではなくあくまでも血糖値の観点からです。
インスリンによる脂肪の蓄積を抑えることで太りやすい体質になるのを避けて、ダイエットのための下地を作るというのが正しい考え方です。 また、「GI値は低いけれどカロリーは高い」という食品もありますので、食品選びは重要なポイントになります。
血糖値の急激な増減は「間食の頻度」にも影響します。血糖値が急激に上がってから急激に下がると、空腹を感じやすくなってしまいます。
食後に空腹を感じやすくなると間食の頻度が高まり、カロリー摂取量が増加してダイエットどころではなくなってしまいます。GI値が低い食品中心であれば血糖値の増減はゆるやかであり、空腹感を感じにくくなって間食の欲求が抑えられるのです。
GI値を意識したダイエットのやり方
GI値が相応にダイエットにも関係していることは把握できたと思います。そこで、GI値を意識したダイエットのやり方について解説します。
GI値を意識したダイエット法の基本は「低GI値の食品を中心とした食生活」です。GI値が低い食品であれば、食べすぎない限り血糖値の上昇は緩やかになります。これによりインスリンの「糖を脂肪として蓄積する」という役割を回避し、太りやすい体質になることを回避します。
そのため、重要なのは「食品のGI値を理解する」ことです。 低GI値の食品を中心として高GI値の食品を避けるためには、何がGI値の低い食品で、何がGI値の高い食品であるかを把握することに努めなければならないのです。
そして何よりも注意したいポイントは、このGI値に注目した方法は「根本的に痩せる方法ではない」ということです。 なぜならGI値ダイエットは「インスリンによる脂肪の蓄積を防ぐ」ことが主な目的なので、そこには「脂肪を増やしにくい」という意味はあっても「脂肪を減らす」という意味はありません。
また、GI値はカロリーとの直接の関係はありません。 簡単にいえば、GI値が低い食品の中にはカロリーが高いものも低いものも含まれています。
例えば「豆類」は低GI食品ですが、カロリーの高い食品が多く該当します。 そうした「低GI・高カロリー」な食品を中心にした食生活を続ければ、カロリーオーバーでダイエットどころではなくなります。
摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスを考慮した上で、GI値にも注意していくのがGI値ダイエットの基本であるといえます。「低GI食品さえ食べれば痩せる」という勘違いだけは、絶対に持ってはいけません。
GI値の低い食品例
GI値ダイエットを成功させるためには、「GI値の低い食品」が何であるかを把握しなければなりません。 ここで重要なのは「炭水化物はGI値高そう」とか「野菜はGI値低そう」というように、単純なイメージだけで解決しようとしないことです。
実際、多くの食品分類においてGI値の高い食品と低い食品が混在しています。
本サイトでは、GI値が70以上の食品を高GI食品、56~69の間の食品を中GI食品、55以下の食品を低GI食品と定義されています。
穀物のGI値
同じ「お米」「パン」でも、お米なら玄米が、パンなら全粒粉であればGI値が低いです。 また、お米は「おかゆ」にすることでGI値を大幅に下げることができます。麺類は、うどんよりもそばのほうがGI値が低くなっています。
・GI値の高い穀類
白米:84 パン:90~95 うどん:80
・GI値の低い穀類
玄米:56 全粒粉パン:50 そば:59 春雨:32
同じ「お米」「パン」でも、お米なら玄米が、パンなら全粒粉であればGI値が低いです。また、お米は「おかゆ」にすることでGI値を大幅に下げることができます。麺類は、うどんよりもそばのほうがGI値が低くなっています。
コンビニだとローソンなどでロカボを意識した全粒粉パンがでているので活用するとよいでしょう。
「低糖質のブランパンはダイエットに効果あり?糖質制限するのにおすすめ」
次に「野菜」について見てみましょう。
野菜のGI値
野菜は何となくGI値が低いイメージがある人も多いと思いますが、人参んやじゃがいもなど一部の野菜・芋類はGI値が高いです。 また、同じ芋類でもじゃがいもよりもさつまいものほうがGI値が低いです。
・GI値の高い野菜
人参(にんじん):80 じゃがいも:90 とうもろこし:70 かぼちゃ:65
・GI値の低い野菜
キャベツ:26 レタス:23 ピーマン:26 ブロッコリー:25 大根:26 ほうれん草:15
果物(フルーツ)のGI値
甘い食べ物が多い果物は総じてGI値が高いイメージがあるかもしれませんが、そうでもありません。覚え方として、南国の果物であるバナナ、パイナップル、マンゴーなどはGI値が高い傾向になります。 一方で、南国系フルーツではない、りんごやみかんはGI値が低いですが、これはあくまでも生の状態であり、果物の缶詰はGI値が高いので注意してください。
・GI値の高い果物
バナナ:55 パイナップル:65 レーズン:57 マンゴー:49
・GI値の低い果物
りんご:36 いちご:29 レモン:34 みかん:33 キウイ:35
肉類のGI値
牛肉 サーロイン:45 牛肉 タン:45 豚 バラ:45 豚 ひき肉:45 鶏 ささみ:45 鶏 むね:45
肉類は総じてGI値は高くなく、玄米とGI値の低い果物の中間程度のGI値しかありません。 カロリーという観点では「鶏 ささみ」と「牛肉 サーロイン」には差がありますが、GI値という観点では差はほぼありません。
ダイエットにおいて肉類を避けがちですが、低GIダイエットにおいては肉類の存在は脅威とはなりません。
魚類のGI値
まぐろ(赤身):40 かつお:40 いか:40 イクラ:45 あんこう:45 あんこう(肝):47 ちくわ:55
「魚類」も総じてGI値は低めになっています。良質なタンパク質を摂取することはダイエットにおいても重要なポイントです。 ただし「ちくわ」などの加工品になるとGI値が高まる傾向にありますので注意してください。
乳製品のGI値
牛乳:25 プレーンヨーグルト:25 カマンベールチーズ:31
乳製品も全体的にGI値は低いです。しかし別の料理の材料に用いる場合や砂糖などを足して摂取する場合はGI値が高くなります。
豆類、海藻類のGI値
大豆(水煮):30 豆乳:23 昆布:17 もずく:12
豆類および海藻類は、全体的にGI値が低いです。特に海藻類はGI値の低さトップクラスの食品であり、低GIダイエットにおいては積極的に献立に加えたい食品だといえます。
お菓子・スイーツ系のGI値
チョコレート:91 ケーキ(生クリーム):82 キャンディー:108 プリン:52 ゼリー(ゼラチン):46
甘く加工されたこれらの食品は総じてGI値が高い食べ物に分類されています。特にキャンディーやチョコレート、どら焼きなどのあんこを使った食べ物はGI値が高くできる限り避ける必要があります。 一方でお菓子類の中では、プリンやゼリーなどが比較的GI値が低い食べ物になります。
まとめ
本記事では、GI値とは何か?カロリーとの違いやGI値の高い食品と低い食品などについて説明してきました。
GI値の低い食品を中心とした食生活に変えることで、インスリンによる脂肪の蓄積を抑えて太りやすい体質になることを回避できます。
また、食品のGI値をきちんと把握しておくことで、高GI値の食品に低GIの食品を組み合わせることで血糖値の急上昇を抑えるというテクニックも行使可能です。
GI値を意識した上で、摂取量と消費量をコントロールしてダイエットに活かしていってください。
この記事の監修者のご紹介

管理栄養士・フードコーディネーター
大学卒業後、食品メーカーに就職し、飲食店向けのメニュー提案や商品開発に携わる傍ら、フードコーディネーター の専門学校を卒業。
栄養講座の講師や食事指導、飲食店プロデュースや料理教室講師、大手メーカーの商品開発など幅広く手がけ、現在は、講座講師や食事指導および企業向けのレシピ開発の他、美味しくて見た目も魅力的、なおかつ健康にもプラスになるような料理を広めるために活動を行なっている。