脂質はダイエットの敵?脂質制限でOK/NGの食べ物

「油はダイエットの敵」
「ダイエットをするなら脂質を控えなきゃ」
というふうに思っている人もいるでしょう。
ダイエットをする上で何かと厄介ものとして扱われる脂質ですが、本当にダイエットには不要なのでしょうか?
実は脂質は体にとって必要なものでもあるので、完全に避けるのはよくありません。
脂質を極端に控えてしまうと、美容や健康維持の面で悪影響が出てしまうことがあります。
では、脂質を含む食べ物はどのように摂取すればいいのでしょうか。
今回は、脂質の種類などを紹介しつつ、正しい摂り方にも触れていきます。
【目次】
・ 脂質は三大栄養素の1つ
・ 脂質がダイエットの敵って本当?
・ 脂質の種類を知ろう
・ 脂質制限でOKな食べ物とNGな食べ物は?
・ まとめ
脂質は三大栄養素の1つ
「三大栄養素」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
生命を維持していく上で欠かせない栄養素の1つで、糖質・タンパク質・脂質が該当します。
つまり、脂質も生命を維持するために不可欠な栄養素ということなのです。
多くの人は「太るから脂質は極力摂らないようにしなきゃ」と勘違いしていますが、脂質の完全カットはやめましょう。脂質は量と質にさえ気を付けていれば、体にとって良い作用をもたらしてくれるものなのです。
脂質がダイエットの敵って本当?
脂質はしばしば「ダイエットの敵」とされますが、脂質の摂取が「太る」ことに直結することはありません。油分の多い食事をして太ってしまうのは、結局脂質の「摂りすぎ」が原因なのです。
脂質を摂る際には、これから紹介するポイントを押さえていれば問題ありません。
脂質の働き
脂質は、脂溶性のビタミンであるビタミンAやビタミンD、ビタミンEやビタミンKの体への吸収をサポートする働きがあります。
また、糖質などと同様に体を動かすエネルギー源として作用したり、皮下脂肪として蓄えられることで体の温度を一定に保ち、内臓を保護する働きもあるのです。
また、脂質は細胞膜の成分やホルモンの材料として使われることもある重要な成分でもあります。不足すると発育障害や皮膚炎などを起こしてしまうことがあるので、摂取を極端に控えるのは危険です。
脂質を摂らないとどうなる?
脂質は体にとって重要な働きをする成分のため「太りやすいから」といって過度に完全に制限してしまう事はよくありません。
脂質を取らないと、既述のように発達障害などを起こしてしまうほか、肌に潤いをプラスしてみずみずしく保つための脂溶性ビタミンの吸収がサポートされなくなるので、お肌の調子が悪くなります。
また、脂質が不足するとホルモンバランスが乱れ、生理の遅れなど様々な弊害を引き起こします。骨密度が低下したり、便秘を起こしたりしてしまうこともあるので、注意が必要です。
脂質は摂りすぎると危険?
脂質が不足すると、体にとって様々な悪影響が出ることを紹介しました。
しかし、だからと言って摂りすぎるのもよくありません。過剰に脂質を摂取すると、消費されずに残った分が中性脂肪として蓄積して、太ってしまうのです。
総摂取カロリーの30%以上を脂質が占めると、糖尿病や脂質異常症(高脂血症)、動脈硬化などの様々な病気を引き起こす可能性が高まります。動脈硬化については、飽和脂肪酸の影響が高いとも言われているので、摂取する脂の質にこだわることも大切です。
脂質の種類を知ろう
脂質の摂取の制限・過剰摂取によって起こる注意点について紹介してきましたが、脂質を摂る際には量だけでなくその質もしっかりチェックしましょう。ひとくちに脂質と言ってもいくつか種類があるので、ここでは一つずつ紹介していきます。
飽和脂肪酸
飽和脂肪酸というのは、肉やバターなどの動物性食品や、ココナッツオイル・ヤシオイルなどの熱帯植物の油脂に含まれる脂質のことです。常温で固まる性質があるので、とりすぎると体内で固まって血流を悪化させ、冠動脈疾患や肥満、糖尿病などを引き起こす可能性があります。
ただ、だからと言って摂らなければいいというものでもなく、不足すると今度は脳出血などを起こすこともあるので、気をつけなければなりません。もちろん、現代人の肉中心の食生活では、過剰摂取の方が懸念されています。
不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸は常温でも固まりにくく、サラサラの状態を保つことができるのが大きなポイントです。魚類に含まれていたり、オリーブ油やごま油、グレープシード油などの種子油に豊富に含まれています。血中の中性脂肪やコレステロール値を調節する働きがあります。
そして、不飽和脂肪酸の中でもさらに一価不飽和脂肪酸・多価不飽和脂肪酸に分類されます。
一価不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸というのは、オリーブ油やキャノーラ油、アーモンド油、またナッツ類に多く含まれる脂質です。アボカドに含まれる脂質もこの一価不飽和脂肪酸なので、料理に取り入れて積極的に摂取しましょう。
一価不飽和脂肪酸は、血中の悪玉コレステロールを減らし、循環器系疾患の危険性を低下させるとも言われています。
多価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸は、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸などに分類されます。オメガ3脂肪酸には青魚などの魚類に含まれるDHAやEPA、α-リノレン酸などがあり、オメガ6脂肪酸にはリノール酸やγ-リノレン酸、アラキドン酸などがあります。
DHAやEPAは高血圧の予防や脳の働きの保持、血中コレステロール値のバランス調整などに役立ちます。アラキドン酸は免疫機能を調節したり、子供の健康的な発育を促したりするのに効果的なので、積極的に摂取することが大切です。
>[参考] 「オメガ3脂肪酸」のダイエット効果や含む食品を解説
脂質制限でOKな食べ物とNGな食べ物は?
脂質制限をする上では、摂取するものに気をつけなければなりません。脂質と言っても様々な種類があり、摂取のしすぎもよくないので、ダイエットの敵にならないようにしっかりと摂取量を調整しましょう。
では、バランスよく脂質を摂取するためには、どんなものを食べたらいいのでしょうか。また、どんなものは控えた方がいいのでしょうか。
揚げ物は避ける
ダイエットをしている人が特に注意しなければならないのが、揚げ物です。
どんな油を使って調理するかは好みにもよりますが、揚げ油は酸化してしまうので、体にとって良いものではありません。酸化した油を摂取すると体内に活性酸素が増えるため、細胞が攻撃されてどんどん劣化してしまいます。
揚げ物は唐揚げや天ぷらなどを想像する人もいるでしょうが、それだけではありません。お店で売られているような菓子パンにも揚げられているものはありますし、ドーナツなどのスイーツにも注意が必要です。
肉は脂身が少ないもの
肉を摂取する場合には、極力脂身が少ないものを選びましょう。脂身には大量の脂質が含まれており、しかも飽和脂肪酸なので体内で固まりやすく、摂取しすぎると血液がドロドロになって動脈硬化などを引き起こす可能性があります。
また、脂質の摂りすぎによって中性脂肪が増え、肥満につながりやすいので、注意が必要です。
お肉を食べる際には、極力脂質が少ない赤身や鶏の胸肉・ささみなどを選ぶようにしましょう。脂身が大好きだという人もいるでしょうが、摂取する頻度を抑えて、たまに食べるくらいにするといいでしょう。
魚を積極的に摂る
お肉などに含まれる脂は基本的に飽和脂肪酸なので、体にとってはあまり良いものではありません。適量なら良いのですが摂取しすぎることによって血流の悪化を招き、病気につながる可能性も高まるので、脂質を摂取するなら魚をメインにすると良いでしょう。
魚に含まれる脂は良質な不飽和脂肪酸であり、常温でもサラサラの状態が保たれるので、血流も良くすることができます。体内に適度な潤いを保持することができるので、肌の状態も整い、美容にも効果的です。脳にも作用するので、育ち盛りの子供を持つ人は積極的に食事に取り入れましょう。
まとめ
今回は、ダイエットをする際に何かと敵視されがちな脂質について紹介してきました。脂質自体がダイエットに悪影響ということではなく、太ってしまうのはあくまで脂質の摂りすぎが原因なのです。
良質な油はむしろバランス良く摂取することで、ダイエットの味方になるもの。
飽和脂肪酸よりは不飽和脂肪酸を積極的に摂取するようにして、健康的で美しい身体を維持していきましょう!
この記事の監修者のご紹介

管理栄養士・フードコーディネーター
大学卒業後、食品メーカーに就職し、飲食店向けのメニュー提案や商品開発に携わる傍ら、フードコーディネーター の専門学校を卒業。
栄養講座の講師や食事指導、飲食店プロデュースや料理教室講師、大手メーカーの商品開発など幅広く手がけ、現在は、講座講師や食事指導および企業向けのレシピ開発の他、美味しくて見た目も魅力的、なおかつ健康にもプラスになるような料理を広めるために活動を行なっている。