炭水化物抜きダイエットは危険?正しい知識でしっかり痩せる

日本人の主食としておなじみのお米などの炭水化物は、体にエネルギーを補給するために大切なものです。
しかし、炭水化物を食べることで体に脂肪が蓄積され、太ってしまうということも往々にしてあります。そのため、近年では「炭水化物抜き」ダイエットをする人も増えていますが、これは本当に効果が期待できるのでしょうか?
炭水化物を摂りすぎると、余ったエネルギーが脂肪として蓄えられてしまうため、結果的に太ってしまいます。
しかし、体のエネルギー源となるものなので、ある程度の量は摂取しないと体調を崩す可能性も。「抜く」のではなく「制限する」程度に留めることが大切です。
【目次】
・ 炭水化物抜きダイエットの危険性とは?
・ 炭水化物を抜いているのに痩せない原因
・ 炭水化物抜きのおすすめレシピ
・ まとめ
炭水化物抜きダイエットの危険性とは?
炭水化物抜きダイエットをすると、不足したエネルギー分を体内の脂肪から補おうとするようになるので、最初はするすると面白いように体重が落ちます。
しかし、これを続けてしまうと、体内のエネルギーが枯渇して様々な弊害が起こることもあるのです。
それでは炭水化物ダイエットが悪影響与えるリスクを説明します。
逆に太る
炭水化物を抜いた食生活を続けていると、エネルギー補給ができない状態のままになってしまうため、どんどん体力が落ち、免疫力も低下します。
普段なら掛からないような病気にかかる可能性も高まりますから、気をつけなければなりません。ヨーロッパの研究では、「炭水化物抜きダイエットによって心疾患のリスクが増える」というデータもあります。
また、炭水化物を抜くことで体が飢餓状態になり、ダイエット明けに食品をとると体は脂肪として蓄えようとするため、リバウンドする可能性がアップ。
炭水化物を抜くのではなく、徐々に減らして、少ない量を食べるようにする、というのが最も効果的なダイエット法なのです。
筋力が落ちる
体の筋肉を作っているのはタンパク質なので、炭水化物を抜いたところで筋力にはさほど影響が出ないだろう、と考える人もいます。
しかし、炭水化物が不足すると体はエネルギーをなんとかしなければならないと感じて、タンパク質を分解して補充します。その結果、体内の筋肉量がどんどん減っていき、痩せたとしてもやつれたような状態になってしまうのです。
また、タンパク質は肌や髪を構成する重要な成分ですから、これが不足することで肌が荒れやすくなったり、髪がパサついてしまったりすることもあります。
脳の働きが鈍る
人間の体の中で最も重要な部分が脳ですが、脳を動かしているのも「ブドウ糖」という糖質です。過度な炭水化物ダイエットをし、体内の糖分が低下すると、脳にも栄養がいかなくなり、正常に働かせることができなくなります。
その結果、集中力の低下や記憶力の低下、また自律神経が乱れることで体が疲れやすくなってしまうこともあるのです。
また、アメリカ・ハーバード大学の研究では、「糖質制限が心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める」という研究結果を出している。
炭水化物を抜いているのに痩せない原因
炭水化物を抜くと基本的には割とすぐに痩せ始めるものだが、なかなか痩せないという人も少なくない。そのような人は、食事の摂り方や栄養バランスに何らかの問題がある場合が多いので、注意してください。
トータルで食べすぎてしまう
「炭水化物を食べなければいいんだ」と思っていると、ついつい他のものを食べ過ぎてしまうことがあります。腹持ちがよい炭水化物を制限しなければならないとなると、必然的にお腹が減ってきてしまうもの。「とにかく食べたい」「空腹に耐えられない」と考えて、お肉などのハイカロリーなものを摂取してしまうこともあるでしょう。
肉類は確かにタンパク質ではありますが、それでも部位によっては脂質などがたっぷり含まれているので、どうしても太りやすくなってしまいます。また、揚げ物などはさらに揚げ油による脂質も摂取してしまうので、肥満の元となってしまうでしょう。
また、「野菜ならいくら食べてもいいだろう」という考えも要注意。野菜と言っても、トウモロコシやイモ類、にんじんやレンコン、かぼちゃや豆類などには糖質が豊富に含まれているため、食べすぎると結局太ってしまう可能性があります。
脂っこいものを食べてしまう
炭水化物抜きでの空腹感を抑えるために、こってりとした揚げ物を多く食べる人もいるだろう。「ハイカロリーだけど、糖質は少ないから大丈夫」と思っていると、痛い目をみることになります。
揚げ油は酸化した油分なので、体内で活性酸素を発生させ、結果的に細胞を攻撃して体を一気に老化させてしまう可能性があります。
また、酸化した油は血液をドロドロにしてしまうので、健康にもよくありません。
揚げ物の衣に使われる小麦粉やパン粉は炭水化物なので、「タンパク質メイン」にしているつもりでも、結果的に炭水化物を過剰摂取してしまっていることもあるのです。
糖分が多い飲み物を摂っている
食べ物で「炭水化物カット」を行っていても、飲み物にまで気を配っていない人は意外と多いものです。
砂糖がたっぷり入っている甘いサイダーやミルクティーなどの飲料は、糖質もたっぷりなので、これらを日常的に飲んでいると結果的に糖質ダイエットにはなりません。
また、果糖をたっぷり含むフルーツを絞ったフルーツジュースも、やはり糖質が豊富。「ダイエット中だから」と言って「カロリーゼロ」「砂糖ゼロ」を謳っている商品に手を出したくなる気持ちもわかりますが、これにも甘さを出すための人工甘味料が使われています。
人工甘味料にも糖質が含まれますし、これは添加物として含まれるもので体にも良くないので、避けたほうがいいでしょう。
炭水化物抜きのおすすめレシピ
「炭水化物を極力摂りたくない」という場合には、炭水化物抜きのレシピを採用していみるといいでしょう。炭水化物が少ない食品というのは意外に多いので、ぜひチェックしてみてください。
納豆&豆腐
低糖質高タンパク質の食品の代表といえば大豆です。大豆は加工しやすい食品なので、ダイエット中には大豆食品を積極的にとると負担なくダイエットができます。大豆には良質なタンパク質のほか、脂質も含まれているので、バランスよく栄養を摂取することが可能。
また、コレステロール値を下げるリノール酸も含まれており、不飽和脂肪酸が含まれていることで、高血圧や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などの生活習慣病予防にも役立ちます。
具だくさんのおにぎり
糖質制限をしている時でも、どうしても炭水化物を食べたくなる時もあるでしょう。
糖質はある程度は必要な栄養素なので、バランスを考えて食べ過ぎないようにすれば太ることはありません。
糖質を摂る際には、小麦を使ったパンよりも、米を使ったおにぎりのほうがオススメ。米はパンに比べて血糖値の上昇が緩やかなので、糖分も脂肪に変わりにくく、太りにくくなるのです。
ただ、そうは言っても食べすぎると肥満の元となってしまうので、おにぎりと食べる際には具がたくさん入っていて米が少ないものを選ぶのがポイント。具もタンパク質の多い鮭や、低カロリーで食物繊維の豊富な昆布やひじきなどがおすすめです。
糸こんにゃく麺
麺料理が大好きだという人も多いでしょう。しかし、パスタやラーメンなどは小麦粉由来の麺は、糖質が豊富です。「糖質制限中は、麺類を控えなければならないのか……」と残念に感じている人もいるでしょう。
そのような時には「糸こんにゃく」を麺のように使って料理を作ってみるといいでしょう。
糸こんにゃくは基本的に糖質がゼロですし、カロリーも低いので太りにくいのがメリットです。
ただ、栄養素も少ないので、野菜などの具をたっぷりと入れることが大切。また、こんにゃく由来のくさみが気になる場合には、スープを工夫して、濃いめの味をつけてみるといいでしょう。
糸こんにゃく麺は満足感もあるので、ダイエット中もストレスを感じることなく食事をとることができます。
まとめ
炭水化物抜きダイエットは、基本的にはおすすめできません。炭水化物も体を健康な状態に維持するためには必要な栄養素なので、適度に摂取し、量を控える程度にとどめましょう。低糖質の食品も多いので、ぜひ取り入れてみてください。
この記事の監修者のご紹介

管理栄養士・フードコーディネーター
大学卒業後、食品メーカーに就職し、飲食店向けのメニュー提案や商品開発に携わる傍ら、フードコーディネーター の専門学校を卒業。
栄養講座の講師や食事指導、飲食店プロデュースや料理教室講師、大手メーカーの商品開発など幅広く手がけ、現在は、講座講師や食事指導および企業向けのレシピ開発の他、美味しくて見た目も魅力的、なおかつ健康にもプラスになるような料理を広めるために活動を行なっている。